強度変調放射線治療(IMRT/VMAT)を提供する、相模原協同病院
神奈川県相模原市にある相模原協同病院は、終戦の1945年に創立された総合病院であり、2021年1月からは新病院としてリニューアルオープンしています。また、新病院の開院に伴って放射線治療科にバリアン社製の高精度放射線治療装置「ハルシオン」を導入するなど、新しい治療環境の構築や放射線療法の提供などにも積極的に取り組んでいることが重要です。がん診療連携拠点病院として、地域の診療所やクリニックなどと連携しながら周辺エリアの癌治療の土台を支えている他、国立がんセンターがん対策情報センターと連携しながら癌患者や家族の相談に乗る、相談支援センターも設置しています。
また、日本医学放射線学会専門医などが所属しており、放射線治療や化学療法、手術などを組み合わせた癌治療も提供していることは魅力です。
相模原協同病院の放射線治療科において、診療責任者を務めている医師が須藤久男放射線治療科部長です。須藤医師は核医学専門医といった専門資格を有しており、また放射線治療に携わる後進の育成にも尽力しています。また、医学博士として臨床研究も行うなど、新しい治療法の導入や検討についても意欲的にアンテナを張っている点は見逃せません。
根治照射から緩和照射まで幅広いニーズに対して放射線治療を活用しており、高精度放射線療法を土台としながら、各患者の状態やQOLに合わせた優しい治療プランの提案を重視しています。
相模原協同病院が2021年に導入した高精度放射線治療装置「ハルシオン(バリアン社製)」は、高精度放射線療法の中でも特に「強度変調放射線治療(IMRT/VMAT)」を得意とする治療機器として開発されています。そのため、相模原協同病院でも強度変調放射線治療を中心とした放射線療法が提供されており、従来の放射線治療よりも副作用リスクを低減しつつ、治療効果を向上させた治療プランが提案されていることが特徴です。
また、放射線治療科では単に強度変調放射線治療を実施するだけでなく、放射線療法を手術療法や化学療法、免疫療法などと複合的に実施する集学的治療を行っていることもポイントです。
乳癌手術の術後照射や食道癌等化学放射線療法など、多角的なアプローチで放射線治療のメリットを追求している点は、癌治療のプランを比較検討したい人にとって重要でしょう。
強度変調放射線治療(IMRT)とは、徹底した精密検査であらかじめ患者の体内の癌について、サイズや規模、位置関係などを正確に分析しておき、それらのデータにもとづいて適切な強度の放射線を多方向から照射する高精度放射線療法の1種です。
従来の放射線治療では、体の周囲から同じ強度の放射線を照射していましたが、そもそも癌組織は不定形なものであり、方向によっては放射線照射の強度が過剰であったり、健常な周辺組織にまでダメージを与えたりといったリスクがありました。
一方、強度変調放射線治療(IMRT)は複雑な形状の癌組織に対して、多方向から適切な強度の放射線をそれぞれ照射できるため、治療効果を高めつつ副作用リスクを抑えることが可能です。
ターゲット(腫瘍)の形状が不整形で複雑な場合、従来法の放射線照射法では腫瘍周囲の正常組織や臓器にも腫瘍と同じ線量が照射されてしまい、腫瘍制御率を高率に維持しながら合併症を低く抑えることが困難でした。強度変調放射線治療(IMRT)は、コンピュータの助けを借りて腫瘍のみに放射線を集中して照射できる革新的な照射技術です。これにより合併症を軽減しながら根治性を高めるといった従来では実現不可能であった放射線治療が展開できるようになりました。
引用元:京都大学医学部附属病院放射線治療科|強度変調放射線治療(IMRT/VMAT)
https://radiotherapy.kuhp.kyoto-u.ac.jp/introduction/%E5%BC%B7%E5%BA%A6%E5%A4%89%E8%AA%BF%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E6%B2%BB%E7%99%82imrt.html
強度変調回転照射法(VMAT)は、高精度放射線療法である強度変調放射線治療(IMRT)をさらに進化させた放射線治療です。
VMATでは、放射線照射装置が回転しながら、患者の体に対して適切な角度かつ適切な強度の放射線照射を実施します。これにより、そもそも放射線治療の効果を高められていたIMRTと比較して、さらに精密かつ高効率な放射線治療を実現することが可能です。
相模原協同病院におけるIMRTやVMATといった高精度放射線療法は、前立腺癌患者や乳癌患者、肺癌患者などに多く使用されており、さらに食道癌や骨転移・脳転移癌などの治療にも活用されています。
照射は基本的に通院しながらの外来治療によって実施されていますが、事情によって通院することが難しい患者に対しては、1~数回の短期照射をすることもあります。なお、治療計画については他の診療科とも連携しながら、患者にとって適切なプランを考案してもらえることが強みです。
乳癌など外科治療(手術)を行う癌の患者に対して、手術だけでは取り除くことの困難な微小癌の除去のために放射線照射を行います。手術後に放射線療法を併用することで、手術で取り除けなかった癌細胞をしっかりと駆逐し、癌の再発リスクを抑えられることが重要です。
また、手術後の放射線照射だけでなく、手術前に放射線照射を行って手術の難易度を低下させたり、手術が難しい癌患者に対して疼痛緩和などの目的で放射線照射を実施したりといったパターンもあります。
術前・術後の照射については、外科など他の診療科の担当医と連携して、適切な治療プランが構築されます。
肺癌や食道癌といった癌に対しては、化学療法と放射線療法を融合させた化学放射線療法が実施されることも少なくありません。
化学放射線療法は抗がん剤を使った化学療法と、高精度放射線療法を組み合わせることで、2つの治療のメリットを増強させて癌治療としての効果を高められる点が特徴です。
手術や放射線治療、化学療法などを組み合わせた専門的な治療を提供します。
引用元:相模原協同病院|がん診療連携拠点病院について
https://www.sagamiharahp.com/about/feature/03.html
相模原協同病院で放射線治療を受ける流れについてまとめました。
相模原協同病院は地域のがん診療連携拠点として指定されており、原則として診療を受けるにはあらかじめ地域のかかりつけ医からの紹介状を取得しておくことが必要です。
また、相模原協同病院の放射線治療は完全予約制となっており、放射線治療を受けるまでの流れはおよそ以下のようになります。
初めて診療を受ける場合、かかりつけ医からの紹介状を用意した上で事前予約を行います。そして予約日に来院し、「1番紹介受付」で当日の診療申込み手続きを行うという流れです。
受付を済ませた後は診療科で改めて診察を受け、必要に応じてCTやMRIなどを活用した検査を受けます。なお、高精度放射線療法には事前の精密検査による癌の分析が必要不可欠であり、紹介状の内容なども考慮しながら検査結果にもとづいて治療計画が構築されます。
放射線照射は治療計画に従って実施され、治療を終えた後も経過観察と再検査によって再発の有無や治療効果の評価などを確認することが大切です。
放射線治療科の受付時間は8:30~11:30(土曜日は8:30~11:00)となっており、午後は原則として予約患者のみの診療対応となります。
予約は指定の電話番号「042-761-6020」へ、受付時間内(9時~16時)に電話して申し込んでください。なお、初診時にはかかりつけ医からの紹介状やCT、MRIといった画像検査の結果などをまとめて持参することも必要です。
どうしてもかかりつけ医からの紹介状を用意できない場合、初診時保険外併用療養費として5,500円(税込)が別途請求されます。また、令和4年4月に診療報酬が改定されたため、同年10月1日から当該費用が7,700円(税込)になる点に注意してください。
相模原協同病院 | |
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診療科目 | 消化器病センター(消化器内科/消化器外科/外科)、循環器センター(循環器内科/心臓・血管外科)、呼吸器病センター(呼吸器内科/呼吸器外科)、脳卒中センター(脳血管外科、脳血管内治療科、脳脊髄外科、神経内科)、血液浄化センター(腎臓内科)、総合内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、血液内科、救急科、精神科、小児科、産婦人科、整形外科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、形成外科、麻酔科、放射線科、病理診断科、緩和ケア科、乳腺外科、歯科口腔外科、皮膚科、ICU・手術科、臨床検査科、リハビリテーション科 |
診療時間 | 受付時間8:00~11:30(土曜日は8:00~11:00) |
休診日 | 第3土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月30日~ 1月3日まで) |
所在地 | 神奈川県相模原市緑区橋本台4-3-1 |
電話番号 | 042-761-6020 |
ベッド数 | 400床(一般394床・感染6床)(2023年5月18日調査時点) |
年間治療患者数 | 272,215人(2021年度) |
対応可能な治療方法 | 手術や放射線治療、化学療法などを組み合わせた専門的な治療を提供 |
設備 | 高精度放射線治療装置ハルシオン(バリアン社製)、マンモグラフィー、歯科用CT、CT 3台(マルチスライスCT:256列、128列、64列)、MRI 2台(3テスラ及び1.5 テスラ)など(2023年5月18日調査時点) |
URL | https://www.sagamiharahp.com/ |