各診療グループ横断型組織として、平成19年に総合がん診療センターを設置した筑波大学附属病院。癌治療だけでなく、癌以外の併存疾患や合併症にも対応できる組織を目指しているそうです。平成20年には地域がん診療連携拠点病院に指定されており、地域のかかりつけ医と連携をとりながら茨城県の癌患者をサポートしています。
筑波大学附属病院の放射線治療
放射線
治療
筑波大学付属病院の放射線腫瘍科は基本的に放射線治療を行います。治療方法は、エックス線治療、小線源治療、陽子線治療など、多岐にわたるそうです。また、新しい放射線治療技術の開発にも取り組み、再発癌や難治性癌の治療として注目を集めている「ホウ素中性子補足療法(BNCT)」の研究も行っています。具体的にどんな治療を行っているのかまとめているので、参考にしてみてください。
1.外部照射
三次元照射治療
複数の方向から三次元的に癌病巣へ放射線を照射する治療法です。主に小さな腫瘍に対して用いられます。局所制御率は手術に引けを取らない成績。1点に集中照射する方法のため、1回の線量は従来の治療法よりも多くなり、治療回数は4~10回程度で済みます。
適応疾患:脳腫瘍、肺癌、前立腺癌など
強度変調放射線治療
凹凸があったり、複雑に入り組んでいる癌病巣に用いられる治療法。複数の方向から放射線を照射する点は3次元照射治療と同じです。強度変調放射線治療の場合、放射線治療装置に内蔵された多分割コリメーターを高速で動かして各ビームの強度を変化させ、凹型の線量分布を実現。腫瘍に放射線を集中照射することができます。
術中照射
手術によって病巣部を露出したのち、放射線(電子線)を照射する治療法です。一般的には癌の切除手術を行った後、残存の可能性がある場所に術中照射治療を行います。高線量の放射線をピンポイントで照射することが可能。
適応疾患:胆道癌、膵臓癌、神経芽腫など
全身照射
白血病や悪性リンパ腫などの骨髄移植治療の前処理として、放射線治療や抗がん剤で病んだ骨髄の細胞を消失させるために行います。病変数が多く、治療の難しいケースでも、癌病巣をコントロールしながら延命できる可能性があります。

2.内部照射
管状の臓器の中に発生した癌に放射線源を挿入する治療法。イリジウム-192という放射線源をワイヤー先端に溶接したものを管腔臓器に挿入して治療を行います。正常組織へ与える影響が少ないのが特徴。ほとんどの場合、外部照射後の追加照射として行われます。
適応疾患:子宮頸癌、食道癌、中枢型気管支癌など
3.陽子線治療
放射線治療のひとつ。水素の原子核(陽子)を加速してエネルギーを高めた陽子線を使用します。陽子線は設定した深さまでに到達した際に最も大きなエネルギーを放出して停止するため、癌の病巣にピンポイントで照射することが可能です。正常組織への影響が少ないので、体にかかる負担も少なめ。そのぶん副作用が軽く、QOL(クオリティオブライフ)を高い水準で保つことができます。
4.ホウ素中性子補足療法
難治性癌の新しい治療法として注目されているホウ素中性子捕捉療法。核反応を利用して、癌細胞のDNAのみを破壊・死滅させます。周囲の正常細胞は影響を受けにくいという利点がありますが、まだ研究段階の治療法です。