産学官で癌の治療や研究に取り組んでいる愛知県がんセンター中央病院・研究所
愛知県がんセンター中央病院・研究所は、研究成果と根拠に基づいた癌医療を患者さんの立場に立って提供することを目指している総合がんセンターです。従来の癌治療の革新を目指して、産学官(※1)の連携を高めています
※1 産学官について
名古屋大学医学部卒業。専門領域は頭頸部がん、子宮がん、食道がん、強度変調放射線治療、高精度放射線治療です。
公益社団法人 日本医学放射線学会 放射線科専門医
臨床試験や研究データなどの科学的根拠をもとに、従来の治療よりも優れていると国から認められた治療(標準治療)をベースにしている愛知県がんセンター中央病院・研究所。
新しい治療機器や治療手技、薬剤の導入も積極的に行っていますが、必ず科学的根拠を標準治療と比較したうえで導入を決定しているそうです。
愛知県がんセンター中央病院・研究所は平成28年10月に東海地区で初めてサルコーマセンターを開設しました。これは希少癌のひとつ「サルコーマ(肉腫)」のための診療部です。
肉腫は組織診断が難しいため、遺伝診断部門がある病院で診てもらう必要があります。愛知県がんセンター中央病院・研究所には遺伝子診断部門があり、肉腫を専門とする医師(整形外科、薬物療法、病理医)も在籍しているため、サルコーマ治療を実現できているのです。
また、「個別化医療センター」を開設。併設のがんセンター研究所と連携して、これまでの治療とは違ったアプローチを目指し共同研究を行っています。ゲノム医療は個別化治療の1つで、がんゲノム(遺伝子情報)を調べ1人1人の体質や病状に合わせて治療する方法です。
愛知県がんセンター中央病院・研究所では、薬物療法や癌手術の件数が多く、放射線治療を受けた患者数が多いようでした。
このことから、幅広い癌治療に対応している実績がある病院だと言えるでしょう。
愛知県がんセンター中央病院・研究所は腫瘍の位置や形に合わせて放射線の強度を調整できる強度変調放射線治療(IMRT)のマシンを3台導入しています。これらのマシンは腫瘍に対して最大限の線量を回転しながら与えるため、短時間の照射で複数箇所の病変にアプローチできます。そのため、再発・転移した癌の治療にも有効です。
マシンの中には4DCTという機能によって呼吸による腫瘍の移動にも対応している装置(シナジー)やトゥルービームというX線ビームの出力を高速に行い治療にかかる時間を短縮してくれる装置などがあります。
ダヴィンチ(手術支援ロボット)を使用した低侵襲手術が受けられます。ロボット手術のメリットは治療する創部の傷口を小さくでき、痛みを抑え出血量を減らせることです。特に泌尿器科領域の手術で活用されているようです。ロボット手術の他にも腹腔鏡下手術、ミニマム創手術(腹腔鏡下小切開手術)などが受けられます。
ホルモン治療や化学療法、分子標的治療薬などが薬物療法にあたります。癌の性質、病状に応じて手術前・手術後に補助療法とおして用いられるケースが多め。または転移した癌に対する治療にも利用されます。
愛知県がんセンター中央病院・研究所で放射線治療を受ける流れについてまとめました。
まず外来で診察をしてもらい精密検査などを実施。その結果によって、入院するか外来で通院するかを判断します。治療方針や具体的な治療の方法は、ドクターが一方的に決めるのではなく、患者と相談しながら話し合う方針を貫いているようです。
手術や化学療法放射線治療などの中から一人ひとりに適していると判断した治療を開始。放射線治療の場合は、地下1階で受付を行います。呼び出しがあったら治療をスタート。治療室に入って放射線治療を受けます。がん放射線療法の看護認定看護師が活在籍しており、疑問や不安に対して相談に乗ってもらうことが可能です。
治療が終了したら退院となります。会計で入院費を支払えばOK。振込での支払いもできます。
はじめて受診する場合は、紹介元の医療機関からの紹介状をFAXで送信する必要があります。その後、予約日時調整と日時を決定し、紹介元医療機関へ患者の受診日時と担当医を記入した予約票をFAXで返信されるので、受診日の前日までに診察の予約をしましょう。
電話:052-764-9892(直通)、FAX:052-764-9897
治療費となる自己負担額は、病状や治療方法などにより異なってきます。放射線治療は基本的に保険診療となるので、高額療養費制度の利用が可能です。
これから紹介する治療費は、あくまでも標準的な放射線治療を行った場合の概算となります。
愛知県がんセンター中央病院・研究所 | |
---|---|
診療科目 | 消化器内科部、内視鏡部、呼吸器内科部、血液・細胞療法部、薬物療法部、臨床検査部、遺伝子病理診断部、輸血部頭頸部外科部、形成外科部、呼吸器外科部、乳腺科部、消化器外科部、整形外科部、リハビリテーション部、泌尿器科部、婦人科部、脳神経外科部、麻酔科部、放射線診断・IVR部、放射線治療部、外来部、循環器科部、緩和ケア部、精神腫瘍科部、臨床試験部、外来化学療法センター、サルコーマセンター、リスク評価センター(遺伝カウンセリング外来)、がんゲノム医療センター(がんゲノム外来)、個別化医療センター、地域医療連携・相談支援センター緩和ケアセンター、看護部、薬剤部、栄養管理部、皮膚科、眼科、リンパ浮腫外来 |
診療時間 | 平日:9:00~17:00 土曜:9:00~13:00 ※(紹介予約制) |
休診日 | 土曜・日曜・祝日、年末年始 |
所在地 | 愛知県名古屋市千種区鹿子殿1-1 |
電話番号 | 052-762-6111 |
ベッド数 | 不明 |
年間治療患者数 | ※参考:院内がん登録 平成30年:2,931件 |
対応可能な治療方法 | 手術療法、化学療法、放射線治療、外来での化学療法など |
設備 | トモセラピー、ダヴィンチ、電子内視鏡、マンモグラフィ、ビューレイシステムなど |
URL | https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/ |