いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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荏原病院

東京 放射線治療
荏原病院のキャプチャ
引用元:荏原病院公式HP
https://www.tmhp.jp/ebara/

年間958件(※)の放射線治療件数を有する荏原病院

荏原病院は東京都大田区にある病院であり、1898年の設立以来、120年以上にわたって様々な人々の健康を見守ってきた医療機関です。手術や抗がん剤治療といった標準治療と同様に、放射線治療も積極的に実施しており、術前・術後の放射線治療や化学療法と併用する放射線治療など、様々な治療プランが提案されています。

※参照元:令和3年度実績(参照元:荏原病院公式HP(https://www.tmhp.jp/ebara/guide/files/4170/004170/att_0000001.pdf))

荏原病院の医師

芝 祐信院長

2022年から荏原病院の院長を務める芝祐信医師は、日本内科学会総合内科専門医・指導医や日本消化器病学会消化器病専門医・指導医といった複数の専門医資格・指導医資格を有するドクターです。また、専門診察領域として「包括的がん医療(緩和教育・在宅ホスピス)」を掲げており、様々な癌患者のライフスタイルやQOLに配慮しながら、どのような人であっても適切な治療を受けられ、さらに患者や家族が安心して治療や生活へ前向きになれる環境の提供を重視しています。

地域医療の中核病院として、急性期医療や集学的癌医療、救急医療などへ重点的に取り組んでおり、地域の医療機関や患者のかかりつけ医と連携しながら、個々の患者にとって適切な医療プランの検討を病院全体で取り組んでいるチーム医療体制もポイントです。

今後の取り組みとしては、急速に進む高齢化に対応し、在宅医療や通院医療による患者へのケアを行えるようにと、多角的な治療スタイルの提案方法を検討していくそうです。

目次

荏原病院の特徴

専門性を持つ医師を招いて実施する高精度放射線治療

荏原病院では患者のために適切な治療法を検討し、地域の医療機関やかかりつけ医と連携しながら最適な治療計画を立案・実践していけるようにと、放射線治療を含めた集学的治療を重視しています。

手術療法や化学療法、放射線治療など、様々な分野の治療法や診療法を組み合わせながら、それぞれのメリットを追究していけるプランを提案しています。

また、アイソトープ検査(核医学検査)を活用することで、癌の骨転移ほか全身性の癌や微小な癌細胞の発見に取り組んでいることも特徴です。

理想的な治療環境や治療法を実現できるようにと必要な設備導入や環境構築にも力を入れており、80列MDCT装置や3次元治療計画装置monacom、マルチスライスCT(120列)といった設備機器の拡充と、それらを活用した低リスク・高精度の治療追究に取り組んでいる病院です。

荏原病院の治療方法

放射線治療

放射線治療3DCRT(多門治療)

荏原病院では放射線治療装置として「東芝社製Primus High Energy」を導入しており、6種類の電子線と6MV/10MVのX線を使い分けながら、患者の状態や癌の特性に合わせた放射線治療「3DCRT(多門治療)」を提供しています。

また、放射線治療を支援する装置として1cm単位の「MLC(マルチリーフコリメーター)」も導入しており、視野を臨機応変に調整して照射範囲の検証・修正をリアルタイムで行うことで、より精度の高い放射線治療体制を構築していることも見逃せません。

なお、放射線装置の出力を常に一定に保てるよう、各種装置のメンテナンスや調整を専門技師らが中心となって行い、安全面についても厳しい管理体制を整えています。

3DCRT(多門治療/三次元原体照射)とは?

3DCRT(三次元原体照射)は放射線の多門治療とも呼ばれる治療法であり、あらかじめコンピュータやCT、MRIといった画像診断装置を使った上で、癌に関する詳細な情報を取得し、精度の高い放射線照射を実施する方法です。

具体的には、癌の大きさや形状、どこに癌が存在してるのかといった情報を、80列MDCT装置を活用した事前の精密診断によって収集し、癌の規模や部位に合わせてピンポイントで放射線照射を行うことが特徴です。

事前収集された癌の情報はコンピュータ上で立体画像として再現されており、それをターゲットとしながら、放射線治療装置を回転させて多方向からの放射線照射(多門治療)を実行することも見逃せません。それぞれの放射線による肉体へのダメージや悪影響を抑えつつ、任意の位置にある癌へ放射線のエネルギーを集中させられるため、リスク低減と治療効果追究を同時に目指せることが強みとなっています。

三次元原体照射(3D-CRT)は、最初に、コンピュータとCT、MRI、PETなどの画像を使って、がんの大きさや形、部位を特定し、がんと周囲組織を立体的に再現します。その上で、治療装置を回転させながら、がんの大きさと形状に合わせて正確に放射線を照射します。正常組織への影響がなるべく少なくなるように工夫されており、現在、多くの病院でこの方法が用いられています。

引用元:がん情報サービス|放射線治療の種類と方法
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/radiotherapy/rt_03.html

アイソトープ検査(核医学検査)

アイソトープ検査(核医学検査)とは、放射線を放出する物質(放射線同位元素:RI)を含有する医薬品を患者の体内へ投与した後、放射線の放出量を特殊なカメラで検出することで、どのような部位へ放射性医薬品が集まっているのか確認する検査方法です。

例えば癌細胞に放射性医薬品の成分が集中している場合、全身の中でも特にその部位で放出される放射線量が多いと検出することができます。

癌や一部の病気では特徴的に血が流れ込みやすくなるといった性質があり、放射線の状態を確認することで、通常の検査では見落とされがちな微小癌や全身に転移した癌細胞などを検出することが可能となります。

アイソトープ検査は認知症診断や癌診断に有用性があり、例えば癌の骨転移では全身の検査をスムーズに行えることが特徴です。なお、癌の骨転移を目的とした「骨シンチ」の場合、放射性医薬品の投与から2~3時間後で撮影診断が可能となっており、その日のうちに骨転移リスクの有無を検査できることもポイントです。

マンモグラフィ(乳房撮影)検査

荏原病院の放射線科では、マンモグラフィ撮影技師とピンクリボンアドバイザーがそれぞれ所属しており、専用X線装置を活用した乳腺疾患の診断が実施されています。

従来の2D撮影によるマンモグラフィに加えて、薄いスライス状に画像を撮影・再構成して確認できる3D撮影(デジタル・ブレスト・トモシンセシス)が導入されており、乳腺の重なりによる見えづらさを解消して高精度の画像診断を追究できる点が強みです。

また、短時間の検査で患者に照射するX線量も抑えられるため、被曝リスクを低減できることも大切です。

荏原病院の施術について

荏原病院で放射線治療を受ける流れについてまとめました。

放射線治療の流れ

基本的に、放射線施術を受けるまでの流れは以下のようになります。

  1. 予約
  2. 画像検査
  3. 治療計画の立案
  4. 治療・治療効果の見極め
  5. かかりつけ医へのフィードバック

地域医療連携を推進する荏原病院では、地域の医療機関やかかりつけ医と連携しながら癌患者への放射線治療を実施しているため、まずかかりつけ医からの紹介状を持っている人しか予約をすることができません。

なお、放射線治療を受ける前に、癌がどのような状態にあるのか画像検査だけを希望することも可能です。

治療プランは画像検査・画像診断の結果にもとづいて構築され、多門治療の効果がどの程度まで得られているかの検証や、それらの情報を改めてかかりつけ医・主治医へフィードバックすることで、今後の治療計画の構築にも役立てます。

予約方法

荏原病院では原則として紹介予約制が採用されています。そのため、救急外来を除いて、基本的にはかかりつけ医や地域の医療機関からの紹介状を持った人のみが予約手続きを行うことが可能です。

なお、診療科によっては紹介状がなくても診察を受けられる場合があるものの、その際には初診費用として「非紹介患者初診加算料」が加算されます。

具体的な予約方法は、予約専用電話番号(03-5734-5489)が用意されているため、平日(午前9時~午後7時)もしくは土曜日(午前9時~正午)の時間内に電話で予約を行ってください。

治療費について

治療費については治療内容や期間によって変動されるため、診察時に担当医へ確認してください。なお、紹介状がない場合は前述した「非紹介患者初診加算料」が必要です。

荏原病院の基本情報

荏原病院
診療科目 (診療部門)消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、糖尿病内分泌内科、緩和ケア内科、感染症内科、神経内科、外科、脳神経外科、乳腺外科、整形外科、皮膚科、形成外科、泌尿器科、眼科、産婦人科、耳鼻咽喉科、小児科、麻酔科・ペインクリニック、歯科口腔外科、精神科、病理診断科
(医療技術部門)リハビリテーション科、放射線科、検査科、薬剤科、栄養科
診療時間 8:30~17:00(診療科及び曜日によって変動)
休診日 なし
所在地 東京都大田区東雪谷4-5-10
電話番号 03-5734-8000
ベッド数 記載なし
年間治療患者数 令和3年度:延べ入院患者数55,120人、延べ外来患者数98,889 人
令和3年度の放射線治療件数958件(症例数97件)
参照元:(pdf)荏原病院公式HP(https://www.tmhp.jp/ebara/guide/files/4170/004170/att_0000001.pdf
対応可能な治療方法 高精度放射線治療を始めとして様々な治療法に対応しています。
設備 東芝社製Primus High Energy、80列MDCT装置、3次元治療計画装置monaco、CT装置(128列)など
URL https://www.tmhp.jp/ebara/