「あきらめない医療」をモットーにさまざまな癌治療を扱う土浦協同病院
土浦協同病院は、さまざまな疾患に対応できる急性期総合病院として2016年に移転新築オープンした医療機関です。癌治療では主に胃癌、肺癌、皮膚癌、肝癌、乳癌、泌尿器癌、子宮癌など幅広く対応しています。治療法も手術、放射線療法、化学療法などさまざまで、病期の進行度により複数の治療法を組み合わせて経過を観察。年齢や合併症を考慮したうえで、「あきらめない医療」をモットーとしている医療機関です。
多くの患者さんが訪れる土浦協同病院において、充実の検査機器体制で多様化する検査需要に柔軟に対応する放射線診断科医を務めています。日本医学放射線学会の診断専門医資格を持ち、多列CTや高磁場MRIをはじめとした高度な撮影装置がもたらす画像の数々を迅速に読影する医師です。
放射線診断医として活躍する一方、インターベンショナル・ラジオロジー(IVR)専門医として多くの血管内治療にも携わっています。血管造影の手技を利用したIVRは局所麻酔で実施できるため身体的な負担も少なく、病巣だけを局所的に治療して入院期間も短縮できるという優れた治療法です。肝細胞がんに対する肝動脈化学塞栓術(TACE)にも有効とされています。このIVRに関する論文も多く、関連医学会でも高い評価を得ているようです。
土浦協同病院は、どの癌に関しても、原則として各学会のガイドラインに沿った治療を実施しています。主治医、放射線医、病理医と連携を図り迅速かつ的確な診断を行い、患者さんにとって最善であろう治療をスムーズに実行することを目標としているのです。
また、場合によってはガイドラインに捉われない治療も検討しており、他院では手術の適応が無いと判断された癌でも、視点を変えて方法を工夫することで切除に成功した事例もあります。
土浦協同病院では各種癌の放射線治療を行っており、放射線科は診断部門と治療部門の2つに分けられています。
放射線診断科では、瞬時に薄いスライスで撮影できる多列CTや高磁場MRIを含む画像診断装置を用意。診断装置で撮影された画像を読影して、各担当医師へレポートとして報告しています。また、IVRという血管内治療も行っており、肝臓がんへの経動脈的化学塞栓療法も用意しているでしょう。2020年10月現在、診断用CT3台、MRI3台が稼働しており、検査待ち期間や検査時間の短縮を図っています。
放射線治療科ではCTを使った三次元治療計画による外部照射をメインに、婦人科腫瘍においては小線源療法を採用。頭部や体幹部などの小さな病変には集中的に照射できる定位放射線治療を実施しています。治療装置が2台設置されているため、よりスムーズな治療が期待できるでしょう。
また、病変には十分な放射線を照射できるにも関わらず、周囲の正常組織への照射量を低減できる強度変調放射線治療(IMRT)のスタートも予定しています。強度変調放射線治療は、コンピュータのサポートによって腫瘍部分のみに放射線を当て、腫瘍周辺の正常組織には放射線の量を低減させる照射技術です。これにより、正常組織に腫瘍が隣接している腫瘍や複雑な形状の腫瘍でも多くの放射線を当てることができるようになり、腫瘍制御率の向上と合併症の軽減が期待されます。正常組織に対しての副作用が起こりにくいので、より効率的に癌治療ができるでしょう。
近年は化学療法薬や免疫療法薬の開発が進み、新たながん治療薬が次々に登場しています。それに伴って副作用をコントロールする技術も着実に進化しており、現在ではより高いレベルの化学療法を通院で受けられるようになってきました。患者さんが仕事や家事、趣味など社会における役割を続けながら治療を受けられる、つまり「患者さんが治療を受けながらもその人らしく生活できること」こそ通院による化学療法の大きなメリットなのです。
土浦協同病院では化学療法センターを併設しており、平日8時30分から17時まで、がん治療を行なうすべての診療科の化学療法が実施されています。
安全性・確実性の高い化学療法が外来でも実現できるよう、医師や薬剤師、看護師によるチーム医療を実践。がん化学療法認定看護師やがん薬物療法認定薬剤師、外来薬物療法認定薬剤師も在籍しており、治療を続ける中で疑問や不安なことがあれば何でも相談に乗ってくれます。
センター内にはラウンジや更衣室、さらには人工肛門や人工膀胱を有する患者さんのためにオストメイト用も含めた男女別トイレも完備しています。治療中の飲食も可能なブースにはテレビも設置され、患者さんがリラックスして過ごせるような配慮も行き届いています。
同センターでは消化器系のがん患者さんがもっとも多く、次いで血液系、呼吸器系のがん患者さんが多くなっています。治療件数は年々増加傾向にあり、2017年では延べ6,700例以上の化学療法が実施されました。
胃癌と大腸癌においては、進行度を確認の上で積極的に腹腔鏡手術を実施しており、症例の50%以上が腹腔鏡手術で行われています。術後1週間から10日程度で退院可能な負担の少ない手術のため、入院日数が短期間で済むのは患者さんにとってやさしいポイントかもしれません。
進行・再発胃癌や大腸癌への化学療法も行っており、大腸癌に対するセツキシマブ+IRISといった独自の治療法も開発しています。
肝臓癌に対しては手術療法、ラジオ派焼灼術(RFA)、肝動脈塞栓療法(TACE)に加えて定位放射線治療も用意。呼吸器外科では、常勤呼吸器外科医が、呼吸器内科、放射線診断科、放射線治療科、麻酔科、病理診断科、キャンサーボードなどと綿密な連携を取り、高度な専門医療を提供しています。CTやMRIをはじめとしたさまざまな画像解析装置による検査の後、超音波内視鏡や気管支鏡検査、ナビゲーションシステムなどによる診断と外科的療法をメインに免疫療法や放射線療法、内視鏡的治療や緩和治療などを実施。治療法における選択の幅が非常に広く、納得のいく形で治療をスタートできるのが特徴です。
泌尿器癌と皮膚癌では、手術、放射線治療、化学療法の3種類を用意しており、場合によってはこれらを組み合わせて治療を進めます。
どの治療法においても根治性とQOLの両立を目指し、各分野のスペシャリストが一丸となって患者さんをサポートしています。
2011年1月から12月の放射線新患者数は約450人で、延べ照射件数は6,400人以上となっています。小線源治療新患者数は43件、メタストロン治療は10件。なお、放射線治療を受けた患者の60%は外来通院です。
土浦協同病院で放射線治療を受ける流れについてまとめました。
土浦協同病院では、以下のような流れで放射線治療を行っています。
1階ロビーにて診察申込書と問診票を記入し、保険証と紹介状を添えて受付に提出。受診について疑問や不安がある場合には、総合案内の看護師または事務が相談を受け付けています。
カウンセリングと診察を行った後、患者さんの希望や状態に合わせた検査を実施。放射線診断科でのCT検査に関しては、当日に受けられない可能性があるため注意が必要です。
放射線診断科でのCT、MRI、PETによる検査の結果をもとに、癌の状態と患者さんの希望を考慮して、最適と思われる治療法を決定していきます。
放射線治療科にて、CTを使った三次元治療計画による外部照射をメインに、小線源治療や定位放射線治療、強度変調放射線治療やメタストロン治療を受けます。外部照射の場合は、腫瘍へ確実に照射できるよう毎回照射前に腫瘍の位置を確認。どの治療法も部位や進行具合などによって照射回数や日程が異なります。メタストロンによる薬物投与治療の場合は、3か月に1回程度のペースでの通院となるでしょう。
担当医師による診察を行い、副作用の確認や治療成績チェックします。
総合病院土浦協同病院 | |
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診療科目 | 総合内科、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科、腎臓内科、血液内科、代謝・内分泌内科、リウマチ・膠原病内科、脳神経内科、小児科、新生児科、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、脳神経外科、整形外科、皮膚科、形成外科、乳腺外科、小児外科、泌尿器科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、歯科口腔外科、麻酔科、ペインクリニック、緩和ケア、救急集中治療科、集中治療科、放射線診断科、放射線治療科、化学療法センター、病理診断科、リハビリテーション科、遺伝カウンセリング外来 |
診療時間 | 8:30~11:30 |
休診日 | 土曜・日曜・祝祭日・年末年始 |
所在地 | 茨城県土浦市おおつ野4丁目1番1号 |
電話番号 | 029-830-3711 |
ベッド数 | 800床 |
年間治療患者数 | 癌診療:約2,050人 ※2017年実績 |
対応可能な治療方法 | 手術療法、放射線療法、内視鏡的治療、化学療法など |
設備 | CT、MRI、PET-CT、マンモグラフィ、電子内視鏡、内視鏡レーザー装置、超音波内視鏡、治療計画用CT、リニアック、治療計画装置、小線源治療装置など |
URL | http://www.tkgh.jp/ |