放射線治療とメンタルケアを合わせた医療サービスを提供
渋川医療センターは群馬県渋川市にある国立医療機関として、高精度放射線治療装置を活用した放射線治療のような癌治療に加えて、癌患者のメンタルケアを専門に扱う精神腫瘍科といった医療サービスを提供しています。また、厚生労働省から「地域がん診療連携拠点」としても指定されており、周辺地域の癌治療の基盤として人々の健康を支えていることがポイントです。
神沼 拓也放射線治療部長/高精度放射線治療センター長
神沼医師は渋川医療センター放射線治療科において、放射線治療部長と高精度放射線治療センター長を兼任。取得している専門医資格や認定医資格には、日本放射線腫瘍学会・日本医学放射線学会放射線治療専門医や、日本がん治療認定医機構がん治療認定医・がん治療認定医指導責任者、日本医学放射線学会研修指導者など、複数の資格が認められている放射線治療の専門家。臨床現場における放射線治療をリーディングするだけでなく、後進の育成にも尽力している医師です。
また、医学博士として新しい放射線治療の研究や開発、導入についても取り組んでおり、悪性腫瘍に対する放射線治療をメインとして良性疾患や甲状腺眼症、ケロイドといった様々な疾患や悩みに関しても放射線治療によるサポートを提供しているのが特徴です。
なお、渋川医療センターでは神沼医師の他にも、放射線治療医や放射線治療専門放射線技師、放射線治療品質管理士といった有資格者が複数所属しており、チーム体制による放射線治療が実践されていることも強みでしょう。
信頼できる医療設備を積極的に導入した上で専門医が治療を担当
渋川医療センターでは高精度放射線治療装置としてスウェーデンのエレクタ社製「Versa HD」を導入したり、治療装置の性能を十分に発揮できるように治療計画装置として「Monaco5.1」を導入したりと、国際的に展開されている医療機器や医療設備を積極的に活用しています。また、それらの医療機器の取り扱いや実際の診療においては、専門医を始めとした各分野の有資格者や専門家などを活用しており、エビデンスにもとづいて患者のために適切な治療環境を構築しようと尽力していることも重要です。
また、放射線治療だけでなく外科治療や化学療法の他、癌患者の精神面を専門的にケアする部署として「精神腫瘍科」を設置している点も見逃せません。
精神腫瘍科では登録精神腫瘍医の資格を持った精神科医を中心に、がん性疼痛看護認定看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーといった専門家が連携して、癌患者のメンタルケアを総合的に行っています。また、複数の診療科や緩和ケアチームとも連携しつつコンサルテーションリエゾン(他科受診)のサポートに関しても取り組んでいることが特徴です。
また、日本サイコオンコロジー学会の登録精神腫瘍医の資格を有しておるため、他院でがん診療中の患者さんの精神的な問題を相談するための受診や、患者さんががん治療を行っていく中でのご家族の精神的なサポートとしての受診や、がんで亡くなられた患者さんのご遺族の精神的な問題に関しての受診、いわゆる遺族ケアはお受けすることにしております。
引用元:渋川医療センター
https://shibukawa.hosp.go.jp/medical_seishinshuyo.html
高精度放射線治療装置「Versa HD」による放射線治療の品質追求
渋川医療センターでは2016年に開院されて以来、高精度放射線治療装置「Versa HD」を導入して積極的な放射線治療を実践していることが特徴です。従来の放射線照射による治療は当然として、強度変調放射線治療(IMRT)や体幹部定位放射線治療(SBRT)といった高精度放射線治療を提供していることは見逃せません。
いずれの放射線治療においても、従来の放射線照射と比べて癌患者の肉体へのダメージを軽減しながら癌の治療効果を高められるよう工夫されており、緩和ケアとしての放射線照射から根治を目的とした放射線治療まで患者の容態や要望に合わせて治療プランを計画できることが強みです。
なお、放射線治療に関しては事前の治療プランの考案過程も重視されており、治療計画を策定するための装置としてメーカーのフラッグシップモデルを採用していることは病院の取り組みを象徴しているといえるでしょう。
2016年の病院開設時より、放射線治療装置は、エレクタ社(スウェーデン) のフラッグシップモデルであるVersa HDを設置しています。Versa HDは一般的な放射線治療から、IMRTや定位放射線治療などといった高精度放射線治療まで、一台で幅広い放射線治療が高い精度で行うことが出来る装置です
引用元:渋川医療センター
https://shibukawa.hosp.go.jp/medical_hoshasenchiryoka.html
強度変調放射線治療(IMRT)は、あらかじめ画像診断検査によって癌患者の体に巣くっている癌病巣の状態や形状を細かく確認し、さらに放射線照射時の画像診断システム利用によってリアルタイムの放射線照射調整を行う治療法です。
そもそも癌細胞や癌組織は歪な形状をしており、部位によって厚みや形状が異なります。そのため、強度変調放射線治療では実際の癌の状態に合わせて放射線の照射レベルを調節しながら、患者への被曝ダメージを軽減しつつ癌治療の効果を維持追求していることがポイントです。
IMRTは腫瘍の形に合わせて放射線を集中してかけ、周辺の正常組織の放射線量を急激に減らす機能です。これにより、周辺の正常組織の副作用を低く抑えながら腫瘍への放射線量を増やし、腫瘍制御の可能性を向上させることができると考えられています。
引用元:渋川医療センター
https://shibukawa.hosp.go.jp/medical_hoshasenchiryoka.html
強度変調放射線治療の効果をさらに高める強度変調回転放射線治療
強度変調回転放射線治療は、通常の強度変調放射線治療に加えて、患者の体へ多方向からの放射線照射を行えるように確立された治療システムです。
放射線照射装置を固定して特定方向からの放射線照射を行うのでなく、患者の体の周囲から最も癌へのアプローチに相応しいと考えられる方向を定めて、強度変調放射線治療を行います。
渋川医療センターでは強度変調放射線治療の大半を強度変調回転放射線治療によって行っており、一層に癌治療の効果を追求していることが魅力です。
VMAT(強度変調回転照射)はIMRTを回転しながら行う機能で、より高精度なIMRTが可能ですが、当院ではほとんどのIMRTをこのVMATで行っております。
引用元:渋川医療センター
https://shibukawa.hosp.go.jp/medical_hoshasenchiryoka.html
様々な方向から癌へピンポイントの放射線照射を行う定位放射線治療
定位放射線治療とは、複数の放射線ビームを活用しつつ、癌に対して多方向から放射線照射を行う治療法です。
個々の放射線ビームの出力強度は安全なレベルに抑えられており、患者の健康な臓器や細胞への被曝ダメージを抑えられることが重要です。加えて、多方向から複数の放射線を目的の部位へ集中させることで、癌細胞に影響する放射線の強度は治療に対して十分なレベルにまで高められるようになっています。
渋川医療センターにおける定位放射線治療では体幹部をターゲットとしたSBRT(体幹部定位放射線治療)が応用として実践されており、小さな癌病変であれば数回の照射だけで治療を完了できるといったことがメリットとして挙げられています。
SRT(定位放射線治療)は、細い放射線を多方向から病巣に集中してかける治療法で、正常組織への放射線を分散することができるため、一回に大量の放射線をかけることができる治療法です。小さな転移性脳腫瘍などに対して数回で放射線治療を完了することができます。上記のSRTを体幹部に応用したのがSBRT(体幹部定位放射線治療)ですが、体幹部の小さな病変であれば同じく1~数回で放射線治療を完了することができます。
引用元:渋川医療センター
https://shibukawa.hosp.go.jp/medical_hoshasenchiryoka.html
慢性的な癌の痛みをケアする疼痛外来
渋川医療センターの麻酔科では外科的アプローチにおける麻酔などを担当しているだけでなく、患者の痛みによる悩みやストレスを軽減してQOLを高められるよう疼痛外来も開設しています。
癌による慢性的な疼痛においても放射線治療科や精神腫瘍科など各診療科と連携して改善や緩和をサポートしてくれるため、癌の疼痛に悩んでいる方は相談してみると良いでしょう。
渋川医療センターで放射線治療などを受ける流れについてまとめました。
放射線治療を受けるに当たって、事前に詳細な画像診断検査を活用した癌の状態分析や可視化を行います。また、癌治療の計画について放射線診断専門医が作成したレポートにもとづいてプランニングを行い、それぞれの癌患者の状態や要望に合わせた放射線治療プランを考案してもらえることが重要です。
なお、放射線照射に関して他の診療科と連携する場合、それぞれの診療科の診察を受けなければなりません。
放射線照射プランが決定すれば、改めて放射線治療専門医を始めとした専門チームによる放射線照射治療が行われます。照射の回数や部位などは事前の放射線照射プランにもとづいており、照射後の診断によって計画の変更や維持などを適宜検証することもポイントです。
なお、術前術後の放射線照射や化学療法との組み合わせなどにおいても同様です。
放射線照射が完了した後も、定期的な画像診断や各種検査によって転移癌や再発癌のリスクをマネジメントします。また癌治療について不安がある場合、精神腫瘍科やがん相談支援センターなどを活用して悩みを相談することが可能です。
渋川医療センターの初診予約については、かかりつけ医として通院している地域の医療機関を通じて行わなければなりません。また放射線治療に関してはあらかじめ放射線診断などが重視されており、患者が直接的に予約して治療を受けることはできないため注意してください。
なお、場合によって予約がなくても初診を受けられますが、その場合は待ち時間が長くなります。
紹介状を持っていない人が初診を受ける場合、初診時特別徴収金として7,700円が別途必要です。なお、治療費については保険適応の場合と自由診療の場合で違いについて確認しておきましょう。
国立病院機構渋川医療センター | |
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診療科目 | 内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、脳神経内科、血液内科、内分泌・代謝内科、外科、呼吸器外科、循環器外科、消化器外科、乳腺・内分泌外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、精神科、小児科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科、臨床検査科、麻酔科 |
診療時間 | 8:30~17:15 |
休診日 | 土曜、日曜、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)※救急を除く |
所在地 | 群馬県渋川市白井383番地 |
電話番号 | 0279-23-1010 |
ベッド数 | 450床 |
年間治療患者数 | 新規放射線治療患者数(2021年1月~12月):272例 |
対応可能な治療方法 | 手術治療、放射線治療、化学療法 |
設備 | 放射線治療計画装置、リニアック、MRI、コンピュ-テッドラジオグラフィ-、内視鏡下外科手術システム、マルチスライスCT装置、ガンマ・カメラ一式 など |
URL | https://shibukawa.hosp.go.jp/ |